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世界史の広場

映画『アポカリプト』からみるマヤ文明とアメリカの「発見」

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映画『アポカリプト』からみるマヤ文明とアメリカの「発見」



『アポカリプト』(2006、アメリカ)

原  題:Apocalypto
監  督:メル・ギブソン
上映時間:139分
おすすめ:★☆☆

▼マヤ文明の範囲(Wikipedia)


◆舞台は16世紀初頭のユカタン半島。
ユカタン半島は、中央アメリカにある大西洋側に突き出た半島で、現在のメキシコ南部からグアテマラにかけてに当たります。
大部分は、熱帯のジャングルです。

マヤ王国でも、マヤ帝国でもないように、マヤ文明とはユカタン半島で似たような生活様式を持っていた人々の総称です。
中国やローマのように、ひとつの国家が地域全体を支配することはなかったようです。

◆主人公たちは、ジャングルの中にある村で平和に暮らしていました。
ところが、同じくマヤ文明でも大きな国家を形成していた部族からの襲撃を受けてしまいます。
襲撃の目的は、奴隷と生贄の確保でした。

主人公は、敵対部族の手から命からがら逃げ出し、避難させていた妻子が待つ故郷へ走る、走る、走る。
本編の大部分がジャングルを走り回る半裸の男たちという絵です。
歴史物というよりはアクション映画ですね。エネルギーを感じます。

興味深いのが、主人公がカエルの毒を使って吹き矢で追手を倒すシーン。
実際にアメリカ大陸には、その名も「ヤドクガエル(矢毒蛙)」というカエルがいて、強力な神経毒を持っています。
ジャングルの生態系、おそるべし、ですね。

▼ヤドクガエル(Wikipedia)


◆世界史の観点から見ても面白いシーンはたくさんあります。
まずは、生贄を捧げるシーン。主人公たちは「捧げられる」ために拉致されたのです。

アステカ王国など中央アメリカの先住民も行っていた、ピラミッドの上で生贄の心臓を生きたまま取り出す儀式です。
生贄として祭壇の露と消えていった人々の思いは、想像するしかないですが、戦争捕虜として連れてこられた生贄であればそりゃあ怖かったことでしょう。

生贄を使っていたというと、勝手に「野蛮な文明だ」などと思ってしまいがちですが、戦争捕虜が多く使われたことを考えると、考え方も少し変わるかもしれません。

また、全編でマヤ語を使うというこだわりも見せています。
マヤ文明は紀元4世紀から14世紀頃にかけて栄えていた中央アメリカの文明です。
アステカやインカのように広大な統一国家を築くことはなく、都市国家同士で戦争や同盟を続けていたようです。

映画では、派手なボディ・ペインティングやじゃらじゃらした服装をした貴族や戦士、ほとんど裸の庶民や奴隷などの対比がよくわかります。
服装が派手であればあるほど高い位にいることが示されました。

▼ティカル2号神殿


◆最後に、主人公はスペイン人の来航を目にします。一隻のボートで上陸しようとしている数人の宣教師と兵士たちです。
これまでに登場したほとんどの人が、この後数十年の間に殺戮や伝染病、労役による酷使で死んでいくのだという未来を予感させます。

タイトルの“Apocalypto”とは黙示の意。
もとはギリシャ語で、宗教的に使われていたので意味はわかりにくい言葉ですが『ヨハネの黙示録』を連想すれば、ひとつの世界(マヤ文明)の終末を暗示しているのでしょうか。
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