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世界史の広場

映画『善き人のためのソナタ』からみる東ドイツの秘密警察

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映画『善き人のためのソナタ』からみる東ドイツの秘密警察



『善き人のためのソナタ』(2006、ドイツ)

原  題:Das Leben der Anderen
監  督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
上映時間:137分
おすすめ:★★★

◆舞台はベルリンの壁崩壊の数年前の東ドイツ。
そこでは社会主義統一党(SED)による一党独裁の下、徹底した監視社会を築くことで体制が維持されていた。
年代からみると、18年間に渡って独裁を続けたSED書記長ホネカ―の任期中と推測されます。

◆ホネカ―なんて、世界史でもかなりマイナーな人物ですがソ連の書記長ブレジネフとのキスシーンは見覚えありませんか?
共産圏の東ドイツとソ連の蜜月を印象的に表しています。

ちなみに、これは同性愛ではなく当時の(今は知りませんが)ソ連には男性同士のキスが文化としてあったようです。
日本ではあまりやりませんが、欧米の人などは挨拶でキスしたりしますよね。
それにしても、ちょっと強烈ですが。

▼1979年のブレジネフが東独を訪れた際、ホネカ―との挨拶で(Wikipedia)


▼1990年にベルリンの壁後(イーストサイドギャラリー)描かれた絵(Wikipedia)


◆キスで話がそれました…。

主人公は国家保安局(シュタージ)の局員ヴィースラー。
彼はある劇作家と恋人の舞台女優の生活を監視し、ふたりが反体制的である証拠をつかむよう命じられる。
当初は任務に忠実だったヴィースラーだが、自由と愛を求める芸術家たちの生活を盗聴するうちに、次第に人間性を取り戻していく。

劇中では、プライバシーが完全に無視され、権力者によって蹂躙される人々の悲痛な叫びが響きます。生々しく、見て居たくないシーンも多いですが、これは氷山の一角に過ぎないであろうということも、また怖い所です。

◆原題は“Das Leben der Anderen”(他人の生活)です。
盗聴されている側の人を指しているのでしょう。

邦題で損をする映画もありますが、個人的にこの映画の邦題はとても物語にあっていると思います。
ヴィースラーは「善き人」になれたのでしょうか。
監視国家の中で、立場は違えど懸命に生きる人々のヒューマンドラマとして上質の作品です。

2007年のアカデミー賞外国語映画賞を受賞しています。

◆さて、世界史的に見ていきましょう。
彼らが生きていたのは第二次世界大戦後の戦後処理の中で生まれたドイツ民主共和国、通称東ドイツです。
東ドイツは1949年の成立から、1990年にドイツ連邦共和国(西ドイツ)に吸収されるまで、40年以上に渡って存在していました。
1955年にはワルシャワ条約機構に加盟し、ソ連の衛星国として西側諸国との最前線にあったわけです。

◆東ドイツを支えていたのがシュタージでした。秘密警察のようなもの、のようです。
この組織の構成員など詳細については、現在でもよくわかっていません。
ただ、2006年に2人の元シュタージが本を出版したり、2007年には東ドイツ側の元スパイの会合があり、とドイツはベルリンの壁崩壊から十数年を経て過去と向き合い始めたようです。

出版された本や会合については、過去の行いを正当化するものであるという批判もあるようですが、そのような批判も含めて、過去について考えていくのは大切なことなのだと思います。
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