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  <title type="text">世界史の広場</title>
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  <updated>2015-03-05T02:46:35+09:00</updated>
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    <published>2015-11-16T01:44:52+09:00</published> 
    <updated>2015-11-16T01:44:52+09:00</updated> 
    <category term="世界史" label="世界史" />
    <title>ジーン・アウル『エイラ―地上の旅人　ケーブ・ベアの一族』からみるネアンデルタール人</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<a rel="nofollow" href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4834251055/ref=as_li_ss_il?ie=UTF8&amp;camp=247&amp;creative=7399&amp;creativeASIN=4834251055&amp;linkCode=as2&amp;tag=charlesslibra-22">&nbsp;<img border="0" src="http://ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=4834251055&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=charlesslibra-22" /></a><img src="http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=charlesslibra-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=4834251055" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /> <a rel="nofollow" href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4834251063/ref=as_li_ss_il?ie=UTF8&amp;camp=247&amp;creative=7399&amp;creativeASIN=4834251063&amp;linkCode=as2&amp;tag=charlesslibra-22"><img border="0" src="http://ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=4834251063&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=charlesslibra-22" /></a><img src="http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=charlesslibra-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=4834251063" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /> <br />
<br />
◆舞台は3万年以上前の東ヨーロッパ。<br />
北には氷河が迫り、誰もこの地域をヨーロッパと呼ばない時代。<br />
<br />
大地震で家族を失ったクロマニヨン人の少女が、ネアンデルタール人に拾われ、成長していく物語。<br />
シリーズの原題は&ldquo;Earth's Children&rdquo;「大地の子どもたち」です。<br />
非常に長いシリーズのうち、第1巻（上下2冊）が本書「ケーブ・ベアの一族」です。<br />
<br />
これを歴史小説と呼んでいいのかわかりません。<br />
頼りにできるのは考古学の資料だけであり、どちらかというとファンタジーだと思います。<br />
しかし、世界史ですっとばされてしまう先史時代のイメージを掴むためにはぴったりの本だと思います。<br />
1人の人間の成長物語としても非常に面白く、アメリカではベストセラーになっていたようです。<br />
<br />
◆直立二足歩行を特徴とする人類の誕生は、約700万年前とされています。<br />
文字を発明して、ものごとを記録するようになってから（狭い意味での「歴史」がはじまってから）、まだ5000年ほどしかたっていません。<br />
つまり、人類史の99.9%は先史時代ということです。<br />
<br />
人類の進化は、一般に猿人、原人、旧人、新人と進んできたと説明されます。<br />
ネアンデルタール人は旧人に属し、約60万年前から約3万年前まで地球上に存在していました。<br />
旧人以来のものもありますが、言語を用いたコミュニケーション、火の管理、石器・毛皮の使用などを行い、狩猟・採集で生計を立てていたことがわかっています。<br />
<br />
ネアンデルタール人は、骨格、顔つきや体格が現代の人類とは異なっていました。<br />
生活はギリギリで、当時のネアンデルタール人の人口は世界全体でも1万数千人程度であったとする説もあるようです。想像もできないくらい、ものすごい過疎ですね。<br />
<br />
▼ネアンデルタール人の頭部模型（想像）<br />
<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/326632a0.jpeg" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1447607522/" alt="" /></a><br />
By Tim Evanson [<a href="http://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0">CC BY-SA 2.0</a>], <a href="https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3AHomo_neanderthalensis_adult_male_-_head_model_-_Smithsonian_Museum_of_Natural_History_-_2012-05-17.jpg">via Wikimedia Commons</a> <br />
<br />
ネアンデルタール人について、特に興味深いのが死者の埋葬が行われており、精神文化が大きく発達していることです。<br />
埋葬された遺体の中には障害を負った遺体もあります。つまり、障害があっても仲間と助け合いながら生活できたということです。<br />
これは、動物とは大きく異なる部分だと思います。<br />
他者への「思いやり」が人間にとって重要であると、著者は冒頭の文章で述べています。&nbsp;<br />
<br />
◆一方、クロマニヨン人は新人に属し、約20万年前にあらわれたと考えられています。<br />
この新人こそ、現代に生きる人類の直接の祖先に当たります。<br />
フランスのラスコーやスペインのアルタミラの壁画は、クロマニヨン人によるものです。<br />
彼らは約1万年前の氷河期の終わり以後も生き延び、約9000年前に農業をはじめ、急速に発展を遂げていくことになります。<br />
<br />
面白いのは、単純にネアンデルタール人が進化してクロマニヨン人になった、とは考えられていないということです。<br />
両者は進化の分岐の先を、それぞれ別に歩んでいたようなのです。<br />
つまり、ネアンデルタール人とクロマニヨン人は、進化の分岐を並行して走っていたのです。<br />
10万年以上の長期に渡り、ネアンデルタール人とクロマニヨン人は地球上に同時に存在した、2つの人類なのです。<br />
<br />
最近の研究では、両者の接触や、もっといくと交配（と書くと動物っぽいですが）があったのではないかということも主張されているようです。<br />
我々はネアンデルタール人（旧人）の血も引いているかもしれません。<br />
<br />
◆前置きが長くなりましたが、こんな先史時代に着想を得てつくられたのが、この物語です。<br />
当時の生活を描く興味深い描写を少しだけ紹介します。<br />
<br />
問題です。器を火にかけずに、中の水をお湯に変えるにはどうすればいいでしょうか？<br />
<br />
正解は&hellip;（以下反転）<span style="color: #ffffff;">器の中に火で焼いた熱々の石を入れる、というものです。石焼鍋の逆の発想ですね。</span><br />
<span style="color: #ffffff;"> これにより、土器がなくとも、また動物の皮や植物で作った器などでもお湯を用意することができました。<br />
</span>（反転終わり）<br />
<br />
▼ネアンデルタール人の使った石器<br />
<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/Mousterian_point.png" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1447606640/" alt="" /></a><br />
（Public Domain/Wikimedia Commons）<br />
<br />
個人的に最も好きなシーンはマンモス狩りです。<br />
一族の人間が、力を合わせてマンモスに立ち向かう様は、迫力満点で手に汗握るものでした。<br />
先史時代は、○○人と石器の暗記で面白くないと感じた人に、ぜひおすすめしたい一冊です。<br />
<br />
◆参考：ジーン・アウル 著／大久保寛 訳『エイラ―地上の旅人　ケーブ・ベアの一族』（上・下）集英社、2004（1980、アメリカ）]]> 
    </content>
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    <id>history.blog.shinobi.jp://entry/12</id>
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    <published>2015-08-06T22:53:52+09:00</published> 
    <updated>2015-08-06T22:53:52+09:00</updated> 
    <category term="世界史" label="世界史" />
    <title>小林章夫『召使いたちの大英帝国』からみる18、19世紀の使用人</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4896919351/ref=as_li_qf_sp_asin_il?ie=UTF8&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=4896919351&amp;linkCode=as2&amp;tag=charlesslibra-22"><img border="0" src="http://ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=4896919351&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=charlesslibra-22" /></a><img src="http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=charlesslibra-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=4896919351" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /> <br />
<br />
◆「執事」といったら、どこの国を思い浮かべますか？おそらく、多くの人が「イギリス」と答えると思います。ご主人様に忠実に仕え、常に冷静沈着。パリッとした服に身を包み、アフタヌーンティの準備のために、てきぱきと使用人に指示を出す、というのが執事のステレオタイプではないでしょうか。<br />
<br />
使用人には、上は執事や女中頭、家庭教師から、下は馬車の御者や女中まで様々な職種があり、多くの人がこの仕事に従事していました。18～19世紀のイギリスでは、多いときで、10歳以上の女性の10人に1人がこの仕事についていたようです（19世紀末）。一般に、弁護士など中流階級なら数人、地主なら数十人が1つの家に仕えていたようですが、大貴族ともなると3桁の使用人を雇っていたというから驚きです。<br />
<br />
本集は、使用人という側面から、イギリスの歴史を明らかにしようとしています。そもそも、なぜ使用人の本場はイギリスといわれるのか、から始まり、彼らのお給料や生活実態、主人との関係など、興味深く書かれています。<br />
<br />
◆先日、『アルバート氏の人生』という19世紀のアイルランドを舞台にした、使用人（厳密に言うといわゆる家事使用人ではなく、ホテルのスタッフなのですが）が主役の映画をみました。そのときに、使用人が主人に酷い扱いを受けても、その職場に留まろうとしているのを観て疑問に思いました。なぜ、こんな扱いをされても耐えているのか、いまいちピンときなかったのです。<br />
<br />
<br />
<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00D4D865G/ref=as_li_qf_sp_asin_il?ie=UTF8&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=B00D4D865G&amp;linkCode=as2&amp;tag=charlesslibra-22"><img border="0" src="http://ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=B00D4D865G&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=charlesslibra-22" /></a><img src="http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=charlesslibra-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=B00D4D865G" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /><br />
<br />
本書を読んで、その理由がわかりました。確かに、使用人の仕事は重労働で、厳しいものでしたが、当時の仕事としてはマシな方だった、というのが理由のようです。当時のイギリスは世界の工場ですから、製造業が主軸です。そのため、石炭を掘るための鉱山や工場で働く労働者が大勢いましたが、空気も悪く、重労働で、機械を使うため、怪我や病気の危険性も高かったわけです。<br />
<br />
それに比べれば、主人である貴族やブルジョワの家での寝食を保障され、ときにはチップやご馳走の食べ残し、ビールの拝借などの役得があった使用人は、最底辺の仕事ではなかったわけです。<br />
<br />
▼18世紀の女中<br />
<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/The_kitchen_maid_by_Jean-Baptiste_Simeon.jpg" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1438868662/" alt="" /></a> <br />
<br />
◆本書の最後では、現代に残る使用人についてまとめられています。印象的だったのはナニーと呼ばれる乳母が、現代にもけっこうな需要があるという部分。乳母といってもお乳をあげるのではなく、もっぱら育児が専門です。保育士の出張版というのに近いのでしょうか。<br />
<br />
共働きの家庭が増える中で、保育を専門的に担う人への需要が大きいようです。けっこうな出費になるので、複数の家庭でまとめて1人のナニーを雇うこともあるんだそうです。ナニー専門の養成学校まであるそうで、そこを卒業したナニーはあちこちで引っ張りだこだとか。日本とはずいぶん様子が違って、興味深いですね。<br />
<br />
参考：小林章夫『召使いたちの大英帝国』2005、洋泉社<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name></name>
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    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://history.blog.shinobi.jp/world/20150724" />
    <published>2015-07-24T01:24:08+09:00</published> 
    <updated>2015-07-24T01:24:08+09:00</updated> 
    <category term="世界史" label="世界史" />
    <title>映画『サルバドールの朝』からみる独裁政権下のスペイン</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/B0012IU112/ref=as_li_qf_sp_asin_il?ie=UTF8&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=B0012IU112&amp;linkCode=as2&amp;tag=charlesslibra-22"><img border="0" src="http://ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=B0012IU112&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=charlesslibra-22" /></a><img src="http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=charlesslibra-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=B0012IU112" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /><br />
<br />
『サルバドールの朝』（2006、スペイン）<br />
<br />
原　　題：Salvador<br />
監　　督：マヌエル・ウエルガ<br />
上映時間：134分<br />
おすすめ：★☆☆<br />
<br />
◆舞台はフランコによる独裁政権下にあった、1970年代初頭のスペイン。<br />
<br />
25歳の青年サルバドール・プッチ・アンティックは、警察官殺害の罪で処刑されようとしていました。<br />
彼は、独裁政権を倒し、労働者による社会主義国家建設のための運動を続けており、仲間と共に活動資金のために銀行強盗を繰り返していました。<br />
ある日、彼は密会場所に張り込んでいた警察官に逮捕される際、持っていた拳銃で警察官を撃ち殺してしまうのです。<br />
<br />
実は、死んだ警官には警察官の誤射による銃創もありましたが、警察はそれをもみ消しました。<br />
また、フランコを継いで首相となったブランコの暗殺の報復的な意味もあり、サルバドールは処刑されます。<br />
<br />
映画は、実在の人物であるサルバドールの活動と挫折、処刑までを描いています。<br />
<br />
◆1970年代初頭というと、日本では高度経済成長時代の終わり、学生運動がピークを過ぎた頃です。<br />
73年に和平協定が調印されたベトナムからはアメリカ軍が撤退し、戦争に一応の区切りがつきます。<br />
同年にはチリで、選挙により社会主義政権を成立させたアジェンデに対する、ピノチェトのクーデタが起きました。<br />
このクーデタの背後には、南米にソ連に近い社会主義政権ができるのを望まないアメリカの支援がありました。<br />
<br />
この時代に、ヨーロッパに独裁政権があったというのは少し意外なことにも思えます。<br />
スペインの独裁に至る道をみていきましょう。<br />
<br />
1936年から39年までのスペイン内戦の結果、反乱を起こしたフランコ将軍が勝利し、国家主席としてスペインを支配し始めます。<br />
フランコはファシズム勢力として、内戦中はドイツやイタリアの支援を受けました。<br />
ピカソの有名な絵画『ゲルニカ』は、内戦におけるドイツ・イタリア軍による都市への無差別爆撃を批判したものです。<br />
<br />
▼フランシスコ・フランコ将軍<br />
&nbsp;<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/966c42bf.jpeg" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1437705806/" alt="" /></a>&nbsp;<br />
<br />
日本、ドイツ、イタリアなどのファシズム諸国が、第二次世界大戦での敗北により、次々と民主化していく中で、戦争中に中立を守ったスペインでは、独裁政権が戦後も存続しました。<br />
<br />
スペインで民主化が達成されるのは、1975年にフランコが死去し、王政が復活した後です。<br />
78年には国民投票により新憲法が公布されます。<br />
サルバドールが処刑された、4年後のことでした。<br />
<br />
◆映画の中で印象的だった部分は3点です。<br />
<br />
1点目は、サルバドールの無罪判決、恩赦を求める弁護士が政党、労働組合に並んで教会や法王にもはたらきかけを行っている点です。<br />
スペインはカトリックが主な宗教ですが、その宗教の持つ力が大きいのは特徴的です。<br />
教会勢力は新大陸での統治や、フランコ将軍の反乱を助けたという側面もありました。<br />
<br />
2点目は、社会主義の理想の強さです。<br />
この時代には、まだソ連が存在しており、社会主義という思想は独裁に苦しむ人々には一種の理想となりました。<br />
多くの社会主義国で、独裁が行われていたことは、皮肉なことです。<br />
<br />
3点目は、警察官殺しの罪の重さです。<br />
「強盗よりも、警察官殺しが問題」というような台詞があります。<br />
警察は、独裁政権下にあっては反抗勢力を潰すための強力な権力の道具であり、これに歯向かうことは体制への反逆を意味したのです。<br />
<br />
▼サルバドールの処刑に使われた鉄環絞首刑の用具。<br />
鉄の環に首を通し、万力を締めあげる絞首刑の一種。<br />
スペインの処刑方法としては一般的だった。<br />
<img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1437705805/" alt="" /><br />
<br />
◆個人的に、映画の構成については好みではありませんでしたが、スペインの現代史を考える上で参考になる映画だと思います。]]> 
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    <published>2015-06-09T02:36:43+09:00</published> 
    <updated>2015-06-09T02:36:43+09:00</updated> 
    <category term="世界史" label="世界史" />
    <title>佐藤賢一『黒い悪魔』からみるフランス革命と軍隊・奴隷</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4167773899/ref=as_li_qf_sp_asin_il?ie=UTF8&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=4167773899&amp;linkCode=as2&amp;tag=charlesslibra-22"><img border="0" src="http://ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=4167773899&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=charlesslibra-22" /></a><img src="http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=charlesslibra-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=4167773899" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /> <br />
<br />
◆18世紀、カリブ海のフランス植民地、サン・ドマングから物語はじまります。<br />
照りつける太陽の中で、コーヒー豆を摘む奴隷の少年こそ、若き日の「黒い悪魔」、アレクサンドル・デュマでした。<br />
<br />
アレクサンドル・デュマというと、『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』などの名作を残したフランスの作家が思い浮かぶと思いますが、この少年はその作家デュマの父親に当たる人物です。<br />
父親と同じ名前なんですね。<br />
<br />
彼は1762年、黒人奴隷の母親とフランス人農場主との間に生まれました。<br />
いわゆるムラート（黒人と白人の混血）です。<br />
デュマという性はフランス語の「du mas」（農家の）からきていますから、その名前が出自を暗示しているわけです。<br />
<br />
彼はフランス人の父親の気まぐれでフランスに呼び出された後、出世のために軍隊に身を投じます。折しも時代は1789年からはじまったフランス革命の真っ只中。<br />
<br />
彼の属する部隊は「王妃付竜騎兵第六十連隊」から「第六竜騎兵連隊」へと呼び名が変わり、将校を独占していた貴族たちが亡命してしまったことで、軍隊は実力主義になっていきます。<br />
デュマは革命の中でめきめきと頭角を現し、フランス共和国軍の将軍にまで上り詰めますが&hellip;。<br />
<br />
◆世界史との関係で興味深い部分を2点みてみたいと思います。<br />
<br />
ひとつ目は革命と軍隊の関係です。フランス革命以前、アンシャン・レジームの軍隊には社会と同じように身分制度がありました。<br />
<br />
日常生活において平民が貴族に逆らえなかったように、軍隊でも平民出身の兵卒は貴族出身の将校の下に置かれていました。<br />
平民では、いくら実力があっても偉くなれない。下士官である軍曹が事実上の最高位です。<br />
デュマ将軍の躍進は、彼本人の能力もさることながら、革命による大転換が背景としてあったからこそ可能でした。<br />
<br />
また、当時の軍隊の「適当さ」も現代に比べ興味深いところです。<br />
<br />
自前で兵士と指揮官をかき集めた人物が、共和国の正規軍に編入され将校となる。<br />
革命で生まれた素人の国民衛兵や志願兵が、旧フランス王国軍と混ざり合って戦列を組む。<br />
連隊長が、軍資金を使い込んでしまい、部隊にはまともな軍馬も与えられない。<br />
<br />
などなど、なんでもありです。<br />
まだまだ国家が軍隊を統率しきれていない様子が感じられます。<br />
まさに、国民国家の軍隊ができあがる最中ですね。<br />
<br />
▼イエナの戦い（1806年）のフランス軍竜騎兵<br />
<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/Battle_of_Jena.jpg" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1433784972/" alt="" /></a>&nbsp;<br />
（Public Domain/Wikimedia Commons）<br />
<br />
◆興味深いもうひとつの点は「奴隷の視点」です。<br />
<br />
デュマは奴隷出身であるだけに、フランス革命では忘れられがちな奴隷の存在にも気を配ります。<br />
結論からいうと、フランス植民地の奴隷にとって、フランス革命は革命ではありませんでした。<br />
<br />
革命の中、急進的なジャコバン派の独裁時代に奴隷解放宣言が出され一時的にフランスに奴隷制はなくなりました。<br />
しかし、貴族に代わって政治に影響力を行使するようになったブルジョワたちにとって、植民地経営を脅かす奴隷制廃止は歓迎されません。<br />
植民地に土地を持つ地主にとっては、奴隷がいなくなってしまうと困るのです。<br />
<br />
1794年、テルミドール9日のクーデタの後の反動政府は奴隷制を再度検討。<br />
その後、ナポレオンの時代に奴隷制度は復活します。<br />
ロベスピエールの処刑くらいしか教科書には載っていませんが、重要な事件だと思います。<br />
<br />
しかし、革命が奴隷制になんの影響ももたらさなかったというと、そうではありません。<br />
革命の中で一度は手にした自由を、人々は簡単に手放さなかったのです。<br />
<br />
フランス革命の中はじまった黒人奴隷の蜂起は、トゥサン・ルーヴェルチュールを指導者とした独立運動へと発展。<br />
本国の反動後もナポレオンのフランス軍を撃退し、1804年には世界初の黒人による共和国、ハイチ共和国を建国するに至ります。この部分も、小説で取り上げられています。<br />
<br />
▼演説するトゥサン・ルーヴェルチュール<br />
<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/b20d7c4b.jpeg" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1433785334/" alt="" /></a> <br />
（Public Domain/Wikimedia Commons）<br />
<br />
フランス革命をすこし違った視点から見てみたいと思ったらぴったりの本です。<br />
息子や孫の生涯は『褐色の文豪』『象牙色の賢者』として描かれており、デュマ三部作となっています。<br />
<br />
◆参考：佐藤賢一『黒い悪魔』文藝春秋、2003]]> 
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    <published>2015-03-28T11:13:10+09:00</published> 
    <updated>2015-03-28T11:13:10+09:00</updated> 
    <category term="世界史" label="世界史" />
    <title>映画『アポカリプト』からみるマヤ文明とアメリカの「発見」</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000V7SEW8/ref=as_li_qf_sp_asin_il?ie=UTF8&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=B000V7SEW8&amp;linkCode=as2&amp;tag=charlesslibra-22"><img border="0" src="http://ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=B000V7SEW8&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=charlesslibra-22" /></a><img src="http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=charlesslibra-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=B000V7SEW8" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /><br />
<br />
『アポカリプト』（2006、アメリカ）<br />
<br />
原　　題：Apocalypto<br />
監　　督：メル・ギブソン<br />
上映時間：139分<br />
おすすめ：★☆☆<br />
<br />
▼マヤ文明の範囲（Wikipedia）<br />
<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/44b56537.png" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1427508644/" alt="" /></a> <br />
<br />
◆舞台は16世紀初頭のユカタン半島。<br />
ユカタン半島は、中央アメリカにある大西洋側に突き出た半島で、現在のメキシコ南部からグアテマラにかけてに当たります。<br />
大部分は、熱帯のジャングルです。<br />
<br />
マヤ王国でも、マヤ帝国でもないように、マヤ文明とはユカタン半島で似たような生活様式を持っていた人々の総称です。<br />
中国やローマのように、ひとつの国家が地域全体を支配することはなかったようです。<br />
<br />
◆主人公たちは、ジャングルの中にある村で平和に暮らしていました。<br />
ところが、同じくマヤ文明でも大きな国家を形成していた部族からの襲撃を受けてしまいます。<br />
襲撃の目的は、奴隷と生贄の確保でした。<br />
<br />
主人公は、敵対部族の手から命からがら逃げ出し、避難させていた妻子が待つ故郷へ走る、走る、走る。<br />
本編の大部分がジャングルを走り回る半裸の男たちという絵です。<br />
歴史物というよりはアクション映画ですね。エネルギーを感じます。<br />
<br />
興味深いのが、主人公がカエルの毒を使って吹き矢で追手を倒すシーン。<br />
実際にアメリカ大陸には、その名も「ヤドクガエル（矢毒蛙）」というカエルがいて、強力な神経毒を持っています。<br />
ジャングルの生態系、おそるべし、ですね。<br />
<br />
▼ヤドクガエル（Wikipedia）<br />
<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/a53d3e5f.jpeg" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1427508636/" alt="" /></a> <br />
<br />
◆世界史の観点から見ても面白いシーンはたくさんあります。<br />
まずは、生贄を捧げるシーン。主人公たちは「捧げられる」ために拉致されたのです。<br />
<br />
アステカ王国など中央アメリカの先住民も行っていた、ピラミッドの上で生贄の心臓を生きたまま取り出す儀式です。<br />
生贄として祭壇の露と消えていった人々の思いは、想像するしかないですが、戦争捕虜として連れてこられた生贄であればそりゃあ怖かったことでしょう。<br />
<br />
生贄を使っていたというと、勝手に「野蛮な文明だ」などと思ってしまいがちですが、戦争捕虜が多く使われたことを考えると、考え方も少し変わるかもしれません。<br />
<br />
また、全編でマヤ語を使うというこだわりも見せています。<br />
マヤ文明は紀元4世紀から14世紀頃にかけて栄えていた中央アメリカの文明です。<br />
アステカやインカのように広大な統一国家を築くことはなく、都市国家同士で戦争や同盟を続けていたようです。<br />
<br />
映画では、派手なボディ・ペインティングやじゃらじゃらした服装をした貴族や戦士、ほとんど裸の庶民や奴隷などの対比がよくわかります。<br />
服装が派手であればあるほど高い位にいることが示されました。<br />
<br />
▼ティカル2号神殿<br />
<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/aaeb0eef.jpeg" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1427508643/" alt="" /></a> <br />
<br />
◆最後に、主人公はスペイン人の来航を目にします。一隻のボートで上陸しようとしている数人の宣教師と兵士たちです。<br />
これまでに登場したほとんどの人が、この後数十年の間に殺戮や伝染病、労役による酷使で死んでいくのだという未来を予感させます。<br />
<br />
タイトルの&ldquo;Apocalypto&rdquo;とは黙示の意。<br />
もとはギリシャ語で、宗教的に使われていたので意味はわかりにくい言葉ですが『ヨハネの黙示録』を連想すれば、ひとつの世界（マヤ文明）の終末を暗示しているのでしょうか。]]> 
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    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://history.blog.shinobi.jp/world/20150326" />
    <published>2015-03-26T01:00:02+09:00</published> 
    <updated>2015-03-26T01:00:02+09:00</updated> 
    <category term="世界史" label="世界史" />
    <title>映画『アミスタッド』からみる19世紀アメリカの奴隷制と裁判</title>
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      <![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000WZO3RO/ref=as_li_qf_sp_asin_il?ie=UTF8&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=B000WZO3RO&amp;linkCode=as2&amp;tag=charlesslibra-22"><img border="0" src="http://ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=B000WZO3RO&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=charlesslibra-22" /></a><img src="http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=charlesslibra-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=B000WZO3RO" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /><br />
<br />
『アミスタッド』（1997、アメリカ）<br />
<br />
原　　題：Amistad<br />
監　　督：スティーヴン・スピルバーグ<br />
上映時間：154分<br />
おすすめ：★☆☆<br />
<br />
◆舞台は19世紀半ばのアメリカ合衆国。<br />
南北戦争の起こる少し前。<br />
<br />
1839年、アフリカから連れてこられた数十人の黒人奴隷たちが、船上で反乱を起こしました。<br />
反乱は成功。彼らはスペイン人の船長を生かしておく代わりに、故郷への案内をさせようとします。<br />
しかし、船長は黒人たちを騙し、正反対の大陸であるアメリカへ向けて舵をきります。<br />
ロングアイランド沖合でアメリカ海軍に捕まった彼らを待っていたのは、彼らの所有権と反乱の罪を問う裁判でした。<br />
<br />
スペイン人は、黒人たちのことをキューバから連れてきた「奴隷の子」であると主張。<br />
「財産」である彼らの引き渡しを要求します。<br />
<br />
一方、奴隷解放の活動家らは黒人たちがアフリカから密輸されたことを突き止めようとします。<br />
アメリカでは、ジェファソン大統領の1808年に奴隷貿易が禁止されていました。<br />
そのため、もし黒人たちがアフリカから来た事を証明できれば、彼らを自由にすることができたのです。<br />
<br />
◆国内では黒人奴隷の是非をめぐって対立が深まりつつあり、この裁判は大きく取り上げられるととなります。<br />
次の選挙を控えた大統領ヴァン・ピューレンが、奴隷制支持の南部の支援を取り付けるため、最高裁判事に圧力をかける場面もありました。<br />
しかし、判事は意外にも奴隷の自由を認める判決を下し、黒人たちは故郷へ送り返されることとなりました。<br />
アメリカの厳格な三権分立も、歴史の中で徐々につくられたんですね。<br />
<br />
アメリカ合衆国第二代大統領ジョン・アダムズの息子で、前大統領のジョン・クィンシー・アダムズも裁判に参加。<br />
奴隷制反対の立場から黒人の弁護をするなど、大物も登場します。<br />
<br />
▼アフリカでの奴隷の移送（Wikipedia）<br />
<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/83a23dc9.jpeg" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1427298995/" alt="" /></a> <br />
<br />
◆タイトルのアミスタッドは、彼らが乗せられた船「アミスタッド号（スペイン語で友情）」に由来しています。<br />
奴隷を運んでいる船としては皮肉な名前です。<br />
物語は、奴隷たちを解放しようとする人々の努力と、そんな彼らに次第に心を開いていく黒人たちを中心に展開します。<br />
<br />
先ほど書いたように、1808年にアメリカでの奴隷貿易は禁止されます。<br />
ただし、奴隷制そのものは合法とされ、1863年のリンカーン大統領の奴隷解放宣言（1865年の憲法修正第13条により、奴隷制廃止が明文化）まで続きます。<br />
<br />
18-19世紀にかけて、イギリスでは産業革命の結果、綿織物の生産の原料である綿花の需要が増加。<br />
イギリス向けの綿花栽培のために、アメリカ南部のプランテーションでは大量の労働力＝奴隷を求めていました。<br />
そのため、実際には南部の需要を当て込んで、奴隷の密輸が横行していました。<br />
<br />
◆密輸というリスクの高い貿易であったため、船主はできるだけ多くの奴隷を一回で運ぼうとします。<br />
そのため、以前の奴隷船の状況よりも、さらに環境は悪化したといわれています。<br />
裸にされ、狭い空間にぎゅうぎゅう詰めにされた奴隷たちは、身体を自由に動かすこともできず、排泄物も垂れ流しの状況でした。<br />
<br />
▼奴隷船、隙間なく奴隷が積み込まれている（Wikipedia）<br />
<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/4ebf37b1.png" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1427298996/" alt="" /></a> <br />
<br />
また、海軍の監視船に見つかったときに密輸の証拠を隠すため、黒人を処分することも平気で行われていました。<br />
映画の中でも、おもりがついた鎖に数珠つなぎにされ、泣き叫ぶ黒人たちを海へ突き落す残酷なシーンがあります。<br />
改めて、奴隷貿易という世界史の暗部を突き付けられる映画です。<br />
<br />
アフリカから奴隷として海を渡った黒人の人数は、1000万～2000万人とも言われていますが、正確な数字はわかりません。<br />
ちなみに、黒人奴隷というと西インド諸島やアメリカ南部が代表的ですが、歴史上最も多く、最も遅く（1888年）まで奴隷を使ったていたのはブラジルだそうです。]]> 
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    <id>history.blog.shinobi.jp://entry/7</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://history.blog.shinobi.jp/world/20150325" />
    <published>2015-03-25T01:38:32+09:00</published> 
    <updated>2015-03-25T01:38:32+09:00</updated> 
    <category term="世界史" label="世界史" />
    <title>映画『善き人』からみるナチスとユダヤ人迫害</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/B007VMC33M/ref=as_li_qf_sp_asin_il?ie=UTF8&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=B007VMC33M&amp;linkCode=as2&amp;tag=charlesslibra-22"><img border="0" src="http://ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=B007VMC33M&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=charlesslibra-22" /></a><img src="http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=charlesslibra-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=B007VMC33M" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /> <br />
<br />
『善き人』（2008、イギリス・ドイツ）<br />
<br />
原　　題：GOOD<br />
監　　督：ヴィセンテ・アモリン<br />
上映時間：96分<br />
おすすめ：★★☆<br />
<br />
◆舞台は第二次世界大戦前夜のドイツ。<br />
アドルフ・ヒトラーが権力を握り始めた頃から始まります。<br />
<br />
主人公は、家族思いの優しい父、大学で文学を教えているジョン・ハルダー。<br />
彼は自分の小説をヒトラーに気に入られたことをきっかけに、生活のためナチス（国家社会主義ドイツ労働者党）へ入党します。<br />
<br />
ユダヤ人の友人がいるハルダーはナチスへの疑問も抱いていました。<br />
しかし、時代の流れに逆らうことができず、ハルダーはついにナチスの親衛隊に入り、その幹部にまでなってしまいます。<br />
<br />
一方で、ナチスによるユダヤ人迫害も本格化。<br />
ハルダーは幹部の特権を生かしてモーリスを国外へ脱出のさせようとするも失敗、モーリスは混乱の中で行方不明になってしまいます。<br />
<br />
1939年、ドイツは第二次世界大戦に突入。<br />
戦時中の1942年、モーリスを探すために彼が訪れたのは、送りこまれたユダヤ人10人の内9人がその日中に「処分」されていく強制収容所でした。<br />
<br />
そこに来て初めて、彼は自分の無意識の行動がいかに多くの悲劇を生んでいたのかに気がついたようでした。<br />
<br />
強制収容所は、どこか現実感がなく、ふわふわとした不思議な映像でした。<br />
死が当たり前となってしまった状況の奇妙さを、上手く描いているのではないかと思います。<br />
<br />
▼1936年、ダッハウ強制収容所を視察するハインリヒ・ヒムラー（Wikipedia）<br />
<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/3d9a3d21.jpeg" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1427128970/" alt="" /></a> <br />
<br />
◆『ヒトラー最後の12日間』を観た後だと、親衛隊が英語で話しているのに違和感があります。<br />
ただ、イギリスの演劇が原作のようなので、これは仕方がないですね。<br />
主演のヴィゴ・モーテンセンは「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルン役としてなら知っている方も多いのではないでしょうか。。<br />
<br />
◆映画のテーマである「ユダヤ人迫害」がはじまったのはいつか。<br />
ひとつの指標として1935年のニュルンベルク法の公布を挙げることができます。<br />
8分の1までの混血をユダヤ人として、公職追放や企業経営の禁止を定めました。<br />
<br />
また、おそらく劇中でも描かれた、1938年のユダヤ人弾圧事件もひとつの指標です。<br />
ユダヤ人の商店やシナゴークが襲われ、割れたガラスがキラキラ光っていたので「水晶の夜（クリスタル・ナハト）」と呼ばれます。<br />
綺麗な名前とは裏腹に、そこで行われていたのは一方的な破壊、虐殺、略奪でした。<br />
<br />
▼1938年11月10日、暴動で破壊されたユダヤ人商店のショーウィンドのガラス（Wikipedia）<br />
<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/The_day_after_Kristallnacht.jpg" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1427128971/" alt="" /></a> <br />
<br />
◆ハルダーはナチスへの疑問を持ち続けていました。<br />
一方で、大学で「国家社会主義」に反する書物が焼き払われても、身体を張ってまでこの流れを止めることはありませんでした。<br />
もしかすると、優しい常識人である大勢の「善き人」が、自分の身かわいさに体制に流されたことが、ホロコーストや侵略戦争を生んだのではないか。<br />
映画には、厳しい批判も込められているように感じます。<br />
<br />
確かに、大勢の民衆はナチスの凛々しいパレードに心奪われ、ヒトラーの指導力を無邪気に歓迎していた人々も多いでしょう。<br />
しかし、全ての人の心の内も完全に統率するなど不可能です。<br />
<br />
多くの人々は「なにかおかしい」「これは悪いことかもしれない」と薄々わかっていながら、気付いていない振りをしていたのではないか。<br />
本当に「善き人」として生きるとは、どうゆうことか。考えさせられます。<br />
<br />
◆最後に印象的な1シーンを。<br />
ユダヤ人のモーリスが、国外逃亡をためらうシーンがありました。<br />
私は見ていて「危ないから、今のうちに逃げてくれ」と思い、やきもきしていました。<br />
<br />
しかし、当時にしてみれば誰もホロコーストなど予見できません。<br />
弾圧が強まっても、流石にそんな酷いことをするはずがない、という気持ちもあったのだと思います。<br />
多くのユダヤ人が、状況が悪化するのを感じつつも、財産や家族のためにドイツに留まった様子が想像することができます。<br />
<br />
]]> 
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    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://history.blog.shinobi.jp/world/20150324" />
    <published>2015-03-24T11:04:21+09:00</published> 
    <updated>2015-03-24T11:04:21+09:00</updated> 
    <category term="世界史" label="世界史" />
    <title>映画『善き人のためのソナタ』からみる東ドイツの秘密警察</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000PWQS3G/ref=as_li_qf_sp_asin_il?ie=UTF8&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=B000PWQS3G&amp;linkCode=as2&amp;tag=charlesslibra-22"><img border="0" src="http://ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=B000PWQS3G&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=charlesslibra-22" /></a><img src="http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=charlesslibra-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=B000PWQS3G" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /><br />
<br />
『善き人のためのソナタ』（2006、ドイツ）<br />
<br />
原　　題：Das Leben der Anderen<br />
監　　督：フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク<br />
上映時間：137分<br />
おすすめ：★★★<br />
<br />
◆舞台はベルリンの壁崩壊の数年前の東ドイツ。<br />
そこでは社会主義統一党（SED）による一党独裁の下、徹底した監視社会を築くことで体制が維持されていた。<br />
年代からみると、18年間に渡って独裁を続けたSED書記長ホネカ―の任期中と推測されます。<br />
<br />
◆ホネカ―なんて、世界史でもかなりマイナーな人物ですがソ連の書記長ブレジネフとのキスシーンは見覚えありませんか？<br />
共産圏の東ドイツとソ連の蜜月を印象的に表しています。<br />
<br />
ちなみに、これは同性愛ではなく当時の（今は知りませんが）ソ連には男性同士のキスが文化としてあったようです。<br />
日本ではあまりやりませんが、欧米の人などは挨拶でキスしたりしますよね。<br />
それにしても、ちょっと強烈ですが。<br />
<br />
▼1979年のブレジネフが東独を訪れた際、ホネカ―との挨拶で（Wikipedia）<br />
<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/Breznev-Honecker_1979.jpg" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1427076528/" alt="" /></a> <br />
<br />
▼1990年にベルリンの壁後（イーストサイドギャラリー）描かれた絵（Wikipedia）<br />
<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/85bc2c28.jpeg" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1427076529/" alt="" /></a> <br />
<br />
◆キスで話がそれました&hellip;。<br />
<br />
主人公は国家保安局（シュタージ）の局員ヴィースラー。<br />
彼はある劇作家と恋人の舞台女優の生活を監視し、ふたりが反体制的である証拠をつかむよう命じられる。<br />
当初は任務に忠実だったヴィースラーだが、自由と愛を求める芸術家たちの生活を盗聴するうちに、次第に人間性を取り戻していく。<br />
<br />
劇中では、プライバシーが完全に無視され、権力者によって蹂躙される人々の悲痛な叫びが響きます。生々しく、見て居たくないシーンも多いですが、これは氷山の一角に過ぎないであろうということも、また怖い所です。<br />
<br />
◆原題は&ldquo;Das Leben der Anderen&rdquo;（他人の生活）です。<br />
盗聴されている側の人を指しているのでしょう。<br />
<br />
邦題で損をする映画もありますが、個人的にこの映画の邦題はとても物語にあっていると思います。<br />
ヴィースラーは「善き人」になれたのでしょうか。<br />
監視国家の中で、立場は違えど懸命に生きる人々のヒューマンドラマとして上質の作品です。<br />
<br />
2007年のアカデミー賞外国語映画賞を受賞しています。<br />
<br />
◆さて、世界史的に見ていきましょう。<br />
彼らが生きていたのは第二次世界大戦後の戦後処理の中で生まれたドイツ民主共和国、通称東ドイツです。<br />
東ドイツは1949年の成立から、1990年にドイツ連邦共和国（西ドイツ）に吸収されるまで、40年以上に渡って存在していました。<br />
1955年にはワルシャワ条約機構に加盟し、ソ連の衛星国として西側諸国との最前線にあったわけです。<br />
<br />
◆東ドイツを支えていたのがシュタージでした。秘密警察のようなもの、のようです。<br />
この組織の構成員など詳細については、現在でもよくわかっていません。<br />
ただ、2006年に2人の元シュタージが本を出版したり、2007年には東ドイツ側の元スパイの会合があり、とドイツはベルリンの壁崩壊から十数年を経て過去と向き合い始めたようです。<br />
<br />
出版された本や会合については、過去の行いを正当化するものであるという批判もあるようですが、そのような批判も含めて、過去について考えていくのは大切なことなのだと思います。]]> 
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    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://history.blog.shinobi.jp/world/20150323" />
    <published>2015-03-23T10:29:50+09:00</published> 
    <updated>2015-03-23T10:29:50+09:00</updated> 
    <category term="世界史" label="世界史" />
    <title>映画『ヒステリア』からみる19世紀イギリスの科学と迷信</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00EU8YO64/ref=as_li_qf_sp_asin_il?ie=UTF8&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=B00EU8YO64&amp;linkCode=as2&amp;tag=charlesslibra-22"> <img border="0" src="http://ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=B00EU8YO64&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=charlesslibra-22" /></a><img src="http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=charlesslibra-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=B00EU8YO64" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /><br />
<br />
『ヒステリア』（2011、イギリス・フランス・ドイツ）<br />
原　　題：HYSTERIA<br />
監　　督：ターニャ・ウェクスラー<br />
上映時間：100分<br />
おすすめ：★★☆<br />
<br />
◆舞台は19世紀末、ヴィクトリア朝（1837-1901）のイギリス。<br />
当時、ヒステリー（ヒステリア）は女性がかかりやすい「病気」とみなされていました。<br />
<br />
たった100年前の話ですが、当時の「科学」知識や倫理観が現代とかなり違っているのが興味深い。<br />
<br />
例えば、細菌の存在は一般に知られておらず、「細菌説」というひとつの新説に過ぎませんでした。<br />
それもそのはず、細菌が発見されたのはまさしくこの時代なのです。<br />
<br />
ドイツの細菌学者コッホは結核菌（1882）、次いでコレラ菌（1883）を発見。<br />
狂犬病の予防接種（1880）で有名なフランスの細菌学者パストゥールも同時代人です。<br />
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▼細菌学の父、ロベルト・コッホ<br />
<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/b8ecf08f.jpeg" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1427300171/" alt="" /></a> <br />
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政治面ではグラッドストンとディズレーリが活躍し、大英帝国がインドやエジプトを植民地にしていった時代です。<br />
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◆映画は1880年代に電動マッサージ器が誕生した史実を元に、人間関係を大きく脚色した物語になっています。<br />
物語の主人公は若い医師モーティマー・グランビル。<br />
彼は細菌説を信じ、院長の命令に背いて患者の包帯を変えようとしたことで、かわいそうなことに勤めていた病院をクビになります。<br />
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次の職場に選んだのは、ヒステリーと診断された女性たちに「特別なマッサージ療法」を行うクリニック。<br />
このマッサージは女性の性器を刺激して、オーガズムに至らせるというものです。ほぼ性風俗ですね。<br />
ただ、医者は大まじめ。真剣にマッサージをします。そこがまた面白い。<br />
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クリニックでのマッサージのやりすぎによって手に炎症ができてしまったモーティマー。<br />
彼は手の代わりに、発明されたばかりのエネルギー（電気）を使った新しいマッサージを考案する。<br />
現代ではアダルトグッズとして知られる、電動マッサージ器（バイブレーター）の誕生です。<br />
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ちょうど、アメリカの発明家エディソンの蓄音機（1876）や電灯（1878）の発明が、数年前の出来事です。<br />
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◆史実の忠実な再現ではないですが、コメディタッチで見やすく、また随所で当時の社会を感じることができます。<br />
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18世紀末というと、第二次産業革命の真っ只中。現代につながる新しい技術が次々に発明され、科学の進歩も著しい。<br />
その半面、男尊女卑や古めかしい迷信も幅を利かせている。<br />
女性には参政権も与えられず、女は結婚し、家事をして子どもを産めばそれでよいと考えられていた。<br />
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骨相学なる、頭蓋骨のかたちで性格を推測するというエセ科学もありました。<br />
また、女性から子宮を摘出すればヒステリーはなくなるという恐ろしいことまで真面目に議論されていたのです。<br />
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▼1895年、英英辞典に掲載された骨相学に基づいた脳の地図<br />
<a target="_blank" href="//history.blog.shinobi.jp/File/d98a4ab8.jpeg" title=""><img src="//history.blog.shinobi.jp/Img/1427300094/" alt="" /></a> <br />
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この時代を無知蒙昧だと馬鹿にするのは簡単です。<br />
しかし、血液型占いや風水が流行る現代が、骨相学を笑えるでしょうか。<br />
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この映画からは現代への批判も感じ取れます。<br />
今の我々が常識だと思っているものは、100年後の人々にとってもほんとうに常識なのでしょうか。<br />
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いまだに日本は女性への社会的な差別がなくなりません。<br />
過去の姿を通して、我々が現代の常識を疑うことを続けないと、100年後の人々にコメディの種にされてしまうかもしれません。<br />
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エンドロールの年代別電動マッサージ器紹介は一見の価値ありですよ。]]> 
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    <published>2015-03-22T13:05:13+09:00</published> 
    <updated>2015-03-22T13:05:13+09:00</updated> 
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    <title>モーパッサン『脂肪の塊』からみる19世紀フランスの戦争と愛国心</title>
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      <![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4102014020/ref=as_li_qf_sp_asin_il?ie=UTF8&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=4102014020&amp;linkCode=as2&amp;tag=charlesslibra-22"><img border="0" src="http://ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=4102014020&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=charlesslibra-22" /></a><img src="http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=charlesslibra-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=4102014020" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /> <a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4003255011/ref=as_li_qf_sp_asin_il?ie=UTF8&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=4003255011&amp;linkCode=as2&amp;tag=charlesslibra-22"><img border="0" src="http://ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=4003255011&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=charlesslibra-22" /></a><img src="http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=charlesslibra-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=4003255011" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /><br />
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―ぞろぞろと、幾日もぶっ続けに、敗残のぼろ部隊が町を通っていった。軍隊などというよりも、流浪民の群れだった―<br />
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◆舞台は普仏戦争中の北フランス、ノルマンディー地方。<br />
1870年、皇帝ナポレオン3世はプロイセン軍の捕虜となり、皇帝を失ったフランスは第3共和制へと移行していた。<br />
翌年にはプロイセン軍はパリに迫り、勝利の後にはヴェルサイユでドイツ帝国の建国式典を行うことになります。<br />
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本書書き出しの「ぼろ部隊」とは撤退するフランス軍のこと。<br />
彼らが、ルーアンの町を通過するシーンからこの物語は始まります。<br />
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ここでは、19世紀の戦時下の市民感覚を感じとることができます。<br />
進駐軍が数人に分かれて泊まりにくるのを受け入れなければならない市民たち。<br />
士官たちによくすることで、兵士の割り当てを少なくしてもらおうとします。<br />
そうかと思えば夜陰に乗じて、プロイセン軍の兵士を殺してしまう者。<br />
司令官とのコネクションを活かし、町を抜け出そうとする商魂逞しいブルジョワたち。<br />
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普仏戦争などは、教科書だとあっというまに終わってしまう出来事ですが、そこに生きる市民たちにとってはたまったものではなかったんですね。<br />
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◆登場人物は、プロイセン軍の進駐を受けたルーアンの町から逃げ出そうとする10人の男女。<br />
1組の伯爵夫婦、2組の大小ブルジョワ夫婦、2人の修道女に、髭の民主主義活動家。<br />
そして「脂肪の塊」という渾名を持つ魅力的な娼婦、エリザベート・ルーセが避難のために１台の馬車に乗り合わせます。<br />
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雪道のため馬車がなかなか進まない中、エリザベートは空腹な同乗者たちに自分の持ってきた食料を勧めてやり、一行は経由地トートの町にたどり着く。<br />
しかし、この町もすでにプロイセン軍に占領されており、なんと司令官は一行の出発を阻みます。<br />
その理由は、エリザベートが司令官の「相手」をするのを拒んだためでした。<br />
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当初、エリザベートに同調していた一行も、彼女のせいで動けないでいるのに腹を立て、あの手この手で彼女を説得にかかります。<br />
戦争相手のプロイセン軍人と寝ることを嫌がっていたエリザベートも、最後には折れました。<br />
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予定外の滞在を経て出発した一行は、もはやエリザベートなどいないように振る舞い、食事を用意する暇もなかった彼女を尻目に自分たちだけで食事をはじめます。<br />
彼らのための犠牲にされ、なおかつ感謝もされずに蔑まれ、エリザベートは車中でひとりすすり泣きます。<br />
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そんな中、民主主義者は我関せずでラ・マルセイエーズ（フランス国歌）を口ずさむ。<br />
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◆この物語からは、モーパッサンの痛烈なブルジョワ批判、虐げられる女性への共感が伝わってきます。<br />
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お高くとまって常識人ぶるくせに、優しさも恩を返すことも知らない上流階級やブルジョワたち。<br />
それとは対照的に、愛国心と親切心に満ちた娼婦。<br />
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最後のシーンは、この時代にも残る色濃い身分や立場による差別、女性の立場の弱さを印象的に示しています。<br />
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◆印象的な台詞をひとつだけ紹介します。トートの町で、一行はプロイセン兵たちが宿泊している家の仕事に励んでいるのを見かけます。<br />
じゃがいもの皮をむいたり、薪を割ったり、家の掃除をしたり、赤ん坊をあやしたり&hellip;。<br />
教会の雑用係によると、彼らはプロイセン人ではなく、もっと遠くから来たとのこと。<br />
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台詞は、この雑用係のものです。<br />
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「国には女房子供をおいてきたものばかりですからな。だから戦争が面白かろうはずもありませんや。きっと、国もとに残された者だって泣いてまさあ。ひどい目にあうのは、こっちばかりじゃなく、あっちだって同じことでさあ。（中略）旦那、貧乏人というものは、助け合わなくちゃなりませんからな&hellip;偉い人たちが戦争をしたがるんで」<br />
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本筋に関係ない人物の台詞ですが、戦争の本質を掴んでいるいい台詞だと思います。<br />
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新潮文庫には『テリエ館』という物語も入っています。<br />
こちらは打って変わって娼婦の大活躍劇です。どちらも短編ですので、ぜひ読んでみて下さい。<br />
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◆参考：ギイ・ド・モーパッサン 著　青柳瑞穂 訳『脂肪の塊・テリエ館』1951、新潮文庫（1880、フランス）]]> 
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